死球マントラ

全員しぬまで人形かぞえる

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『神に選ばれし無敵の男』 (2001) ヴェルナー・ヘルツォーク

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ナチスヒトラーが政権を獲得したのは1934年、そしてポーランドに進攻したのは1939年だ。したがってこの映画の設定年代1932年はヒトラー台頭の前夜の時代。そしてこの時代は既にドイツ人とユダヤ人の関係はもう気分的にホロコースト直前な不穏な雰囲気なわけで神秘の館の観客であるナチスの党員は既にユダヤ人排斥主義そのものだ。だからその後のことの顛末をもう既に歴史が証明してしまっている現代っ子の視点からは無敵の男の行動力はいかに不発なのかがわかるぜ。どう足掻いても粛清の洗礼を受ける結末が待ち構えてる事から逃れられない神の種族の神の不毛な啓示だ。だからこそいきなし本物の千里眼を発揮してユダヤの未来を警告する場面もおそろしく筋肉のみで生成された知能指数の低さとあいまって哀れ際立つわけではあるけれどもそれは実際の能力を備えてないのに演技力だけで千里眼を武器とした占星術師ハヌッセンがその正体を隠蔽しながらナチス内部に深く侵攻するというむしろ敵と同化する処世術とは対照的なんだけどそのハヌッセンがユダだと見破られる時にこれはハヌッセンこそが無敵の男よりも裏の悲しみエンドレス物語を胸にここぞとばかり秘めた主人公だと俺気づいた時にあまりのかっこよさに泣いたよね。そしてその偽の千里眼能力が皮肉にも唯一本気で見抜いていたのは事実上ヒトラーのちからであると。
だいたい神に選ばれし無敵の世界一の力持ち超人ヘラクレス鋼の男だけど基本的に筋肉馬鹿だからほんとどうしようもない攻撃でマッスル無敵肉体は死滅するという。それは表面はあらゆる攻撃を撥ね返す鋼鉄で覆われてたとしてもその筋肉と筋肉の接合する狭間のマッスルコーティング不可能部分に微弱な攻撃波を送り込んで侵入した場合には内部中枢に到達するだけで最弱な裂傷ではあってもそのダメージは全体に浸透するし内部からの破壊は無敵の肉体をもいとも簡単に駆逐する致命傷になりうるということで外壁最強の帝国も内部の謀反を守る術はないということ。末端の損傷ではあってもその余波はいつかは中枢部を破壊するダメージへと連鎖するということ。だから表面上制圧が完了したかに見えてもひとの精神まで支配が行き届く事は無理ってことだ神に選ばれし無敵の男は筋肉鍛冶屋のことだけを指すのではなくもうひとりはつまりヒトラー。でも無敵といえども打倒できるということ。その存在感はたとえこの映画に直接登場しなくてもその影がつねにこの世界を支配するぜ不在がむしろその影響力をフィルムに刻みこむ圧倒的な歴史がぼくらをこの無敵な物語を破滅へと導くんだ。4000点
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